1節から5節です。:1<そのころのことであった>そのころというのは、ヨセフを売ったころ、父のヤコブがヨセフのために、何日も嘆き悲しんでいたころ、のことです。ユダは、兄弟たちから、つまり、神の民から、離れて下って行きました。その先は、どこですか?<名をヒラというアドラム人の近くで天幕を張った>とあります。アドラムというのは、カナン人の町です。ユダは、12節を見ると、このヒラと親しかったことが分かります。12節の終わりに、<友人でアドラム人のヒラも・・・>とあります。さらに、ユダは、カナン人の娘を妻にします。
このように、ユダは、神の民から離れ、神の民ではないカナン人を友人とし、異教の民カナン人を妻にしました。つまり、神の“祝福の契約”から離れて、下って行ったのです。ユダの妻は、身ごもって男の子を三人産みます。ユダは、それぞれ、エル、オナン、シェラ、と名付けました。エル:注意深い、オナン:強い、シェラ:願い、という意味のようです。ユダは、シェラが産まれた時には、ケジブという町に住んでいました。ケジブというのは、“誤り”という意味のようです。偶然ではないでしょう。このようにして、ユダは、ますます神の祝福の契約から離れ、下って行ったのです。
ユダは、長子エルに、妻タマルを迎えます。タマルの父の家(実家)は、どこかというと、11節、12節、13節から、ティムナであったことが分かります。ですから、タマルも神の民ではなく、カナン人でしょう。しかし、主は、エルを殺されます。エルが、主の目に悪しき者であったからです。そこで、ユダは弟オナンにこのように命じました。:8(読む)これは、当時のしきたりで、レビラート婚と言われるものです。のちに、申命記に、記されます。25章の5節から10節です。358頁、5節、6節だけを読みます。:5、6(読む)主が、このようなことを命じられたのは、何のためでしょう?6節の終わりにあるように、<その名がイスラエルから消し去られないようにしなければならない>ためでした。ここで、主がアブラハムに言われたことを、思い出してみましょう。主は、言われました。<確かにわたしは、あなたを大いに祝福し、あなたの子孫を、空の星、海辺の砂のように大いに増やす。あなたの子孫は敵の門を勝ち取る。あなたの子孫によって、地のすべての国々は祝福を受けるようになる。>(創22:17)また、イサクに言われました。<そしてわたしは、あなたの子孫を空の星のように増し加え、あなたの子孫に、これらの国々をみな与える。あなたの子孫によって、地のすべての国々は祝福を受けるようになる。>(創26:4)そして、ヤコブに言われたのです。<あなたの子孫は地のちりのように多くなり、あなたは、西へ、東へ、北へ、南へと広がり、地のすべての部族はあなたによって、またあなたの子孫によって祝福される。>(創28:14)このように、イスラエルにとって、子孫が多くなるということは、主のみこころでした。ですから、子孫を増やすということは、イスラエルにとって、重大な責任だったのです。
ユダは、弟オナンに、レビラート婚を命じます。オナンは、どうしたでしょう?:9、10(読む)このように、オナンは、兄に子孫を与えないようにしたのです。子が生まれないようにしました。なぜでしょう?それは、生まれる子が、自分のものとならないのを、知っていたからでした。自分のものとならないのは、長子だけなのですが・・・、弟からは、自分のものです。ただ、長子が兄のものとなると、財産の多くが、その長子のものとなってしまう、ということはあります。オナンのしたことは、主の目に“悪しきこと”でした。それは、アブラハム、イサク、ヤコブの神、そのみこころに、あえて背く、そして、背き続けることだったからです。主は、オナンを殺されました。
長子エル、弟オナン、次は、シェラのはずです。ユダは、嫁のタマルに、このように言いました。11節、「わが子シェラが成人するまで、あなたの父の家でやもめのまま暮らしなさい。」成人するまで、というには口実ですね。続いて<シェラもまた、兄たちのように死ぬといけないと思ったからである>とあります。ユダは、このように考えたようです。「長子エルは、タマルと結婚して死に、弟オナンも、タマルと結婚して死んでしまった。残っているのは、三男シェラだけだ。シェラを、タマルと結婚させて、シェラまで死んでしまったら大変だ。」そこで、“成人するまで”と、ごまかし、父の家に(実家に)帰してしまったのです。皆さん、どう思いますか?タマルのせいですか?違います。長子エルが、死んだのも、弟オナンが、死んだのも、主が殺されたからです。しかし、ユダは、タマルのせいにします。12節には、<かなり日がたって>とあります。やはり、シェラとは結婚させずに、イスラエルの神、主のみこころに従いませんでした。